サラマンカ
 「学生の街・大学の街」という書き方をされるが、それはこの街のほんの一部を表しているに過ぎない。多くの立派な教会やローマ時代の橋やマドリッドのより立派に見えるマヨール広場等見るモノも多い。歩き回っても楽しい町。マヨール広場近くのカフェテリアで飲んだコーヒーの値段が1.05ユーロ。2ユーロ出したら「細かいのはないか」と言われたが「無い」と答えると、きちんとお釣りをくれた。南の町だったら、この0.05ユーロは最初から付けないと思う。何で 0.05ユーロ取るのかは聞き漏らした。スペインにしては細かい事を気にする町なのか?                                                     
「サラマンカのマヨール広場」                     
カスティジャーノというスペインの標準語では「マジョール広場」となる。マドリッドのより大きく立派に見えた。この広場に面してツーリストインフォメーションが有るのだが「i」の印は無く、入口にスペイン語で小さく書いてあるだけ。随分と探し回ってしまった。この広場に面した店のコーヒーは、どこも他の場所に比べて倍の値段。インターネットカフェもこの広場に面した建物の2階に有りよく使わせて貰った。
「サラマンカ市内」
 この町では至る所から色々な教会が見える。
「サラマンカの街角で」
 イスラム的な回廊を持った建物を見つけ思わず写す。建築に興味をお持ちなら、この町もお勧め。教会の建物も様々な様式のが混在する。
「ローマの橋とサラマンカの町」      ボート遊びもできる大きな川に掛かるローマ時代の橋、そこから眺めたサラマンカの中心部。コウノトリが巣の材料取りに来て、高い建物のてっぺんにくわえて帰って行くのが一日中見られる。


アビラ
 旧市街は保存状態の良い中世(AD1000年位)の城壁に囲まれていて、雰囲気は最高。金曜日に開かれる野菜の市場も珍しく面白かった。私の好きなプレイステーション2のゲームに「アーマード・コア」という「ロボット対戦ゲーム」があるが、その中の一場面はここの城壁が舞台だった事が行って見て分かり、嬉しい発見だった。

 「アビラの城壁」                                   アビラに着いた翌日は久しぶりの雨で、傘を差してこれを撮った。夜はライトアップされてきれいらしいが、アビラ2日目の朝、トランクの重さを見ようとして持ち上げた途端、軽いぎっくり腰に。夜の城壁どころではなく、二日間部屋の中でおとなしく本なんぞ読んでいた。 

 今回訪れた町で、長期間滞在しても飽きずに居られるのはカディスくらい。それも「気の合う仲間が居るか、スペイン語がかなりしゃべれる」という条件付で。スペイン語をしゃべらず地元の人との交流を考えない場合には、1週間も居れば充分かも知れない。スペイン語がしゃべれて地元の人達の中に入って行ければ、ここの人達は快く迎えてくれる。海辺では魚の釣り方や貝の取り方も頼まなくても教えてくれるし、気が合えば家族ぐるみのお付き合いにも発展するとの事だった。英語で話しかけてくる人にも何人か出会った。

○オテルとオスタル
 今回の旅の前半、カディスでの滞在はオスタルだった。事前の予約なしに行ったのだが、たまたまLONLY PLANET(旅行案内書)に載っていた旧市街の中心のオスタルで市庁舎の隣の宿が空いていたのでそこに決定。築後203年を経た石造り。ダブルベッドが入った私の部屋は1泊20ユーロ(約\2,600)、ベランダが付いたツイン部屋は1泊25ユーロ(約\3,250)トイレとバスが一緒になった部屋は共用。電気温水器利用で24時間いつでも使用可能。但し貯湯量が200Lの為、浴槽イッパイにお湯を入れると、後のお湯はしばらくぬるい状態が続くが。建物は200年も昔から使っている石造りの4階建て。スペインらしく建物の中央にはパティオという吹き抜けの空間が有り、ここのは透明な屋根で覆われていた。しかしここの空間、中庭なんていう色気はなくタダの空間。もう少し値段の高い良質のオスタルを見に行ったが、そこのは植木や花が置いてあったり、タイルの装飾が施されていたりする、見栄えのする夢のある「パティオ」だった。歴史が古く、路地が入り組み、大きな建物のない旧市街には近代的なオテルはほとんど無く、それら旧市街を取り巻く新市街と呼ばれる味も素っ気もない場所に有る。それでもカディスの場合は海辺に面した所に建っていたが、そこから、歩き回って面白い旧市街まではバスで行くしかないので今回は対象外とした。西の海に面したパラドールにも行ってコーヒーを飲んできたが、ここのは歴史的建造物ではなく単なるアメリカナイズされたホテルだった。雨の日に行って本を読むには良い場所である。

○石造りの建物の遮音性
 私が泊まった部屋の隣がバスルームだったが、音はほとんど聞こえなかった。町や海沿いの道を歩き回り、疲れ切って帰った後の4階までの階段はきつかったが。

○オスタルの共用バス・トイレの欠点
 ワンフロアに1〜2カ所ある共用バスは、マナーをわきまえない人が同時に投宿していると不愉快なことになる。少し値段が高いがバス付の部屋に泊まればその心配はない。

○オスタルは現金でしか支払えない
 クレジット会社に手数料を取られるのがイヤなのか、どこも現金がお好き。
 
○オーナーの人柄で決まるオスタル
 オスタルとは個人経営の宿泊施設だから、オーナーの人柄次第で居心地は大いに異なる。これは泊まってみないと分からない事だから、ちょっとしたカケだ。又、こちらの出方次第で居心地が良くも悪くもなる、という面も持ち合わせている。

○部屋の掃除とベッドメーキングの質
 掃除のおばさんが毎日ベッドメーキングと掃除をしてくれるのは良いのだが、「四角い部屋を丸く掃く」式のインチキこの上ないやり方で、床はいつもザラザラでおまけにこのおばさんの髪の毛が所々に落ちていたりして参った。タリファで泊まったオスタルの床も石だったが、こちらの床はザラつかなかったから、やはり料金と掃除の仕方なんだと思う。タリファのは鍋、フライパン、食器等が備え付けてあるミニキッチンが付きで、長期滞在には向いていたが、サーフィンでもしない限り1泊で充分な街ではあった。1泊42.2ユーロ\5,500。(タリファはヨーロッパ人にとって、サーフィンのメッカ)

○部屋の鍵
 ちゃんとしたオスタルでは、泊まった人には2つか3つの鍵を渡してくれる。建物に入る入口の鍵と部屋の鍵で、全館オスタルでない場合にはオスタル部に入る鍵もくれる。カディスで泊まったオスタルでは部屋の鍵の他にもう一つ鍵が付いているのを貰ったが、建物の入口はいつも開いているし、廊下のドアの鍵穴にも入らなかったから、あれは一体どこの鍵だったんだろう?しかし、街全体の治安が良いから特に心配はしなかった。2階にあるオーナーの部屋のドアはいつも少し開けてあり、人の出入りを中から監視していた。

○旧市街(セントロ)と新市街
 スペインの古い町の中心(旧市街)は城壁に囲まれていたりして、石造りの4,5階建ての建物が建ち並び、その中の路は町の防衛上か迷路の様に入り組んでいることも多い。細い路に面した1階は商店、2階以上はオスタルだったりする。全館ピソというマンションの建物もいっぱいある。高層建築が多い新市街にはオスタルはほとんど見当たらない。これは旅行者にとっては大助かりで、宿を出ればすぐに市場や商店やBARに行けるというのは有り難い数百年も経た古い町並みも味があり、衣料品、靴、バッグ等の店も多く歩いていて飽きない。フェニキア時代から続く、ヨーロッパで一番古い町と言われるカディスも勿論例外ではなく、町のあちこちに古い時代の遺跡が点在する。

○気温
 緯度で見ると、東京とスペインの南の端が大体同じなのだが、行ってみた感じではスペインの方が寒かった。標高650mのマドリッドは勿論、南の海の中の町CADIZでもエストラマドューラ地方のMERIDAでもサラマンカでも朝晩の冷え込みはかなり厳しい。それらのほとんどの場所で「1日の内に四季がある」といった感じ。朝晩は10度以下、日中の日向は強烈な日差しがじりじりと「おでこ」を焦がし20度位、でも日陰に入ると寒い。だから、外出時はコートを羽織り、帽子を持ち、日向ではそれらを脱いで半袖になり、人によってはサングラスも必要になる。私の場合は、日向と日陰を50m位ずつ交互にジグザグに歩いた。おまけに南のCADIZでは、朝快晴でも2,3時間後に雨になることもあって傘まで持ち歩かなければならない。これに風が加わると、もう真冬の格好で丁度良い。但し、皮下脂肪でガードしている方はこの限りではない。 

  (注)2003年6月9日 カディスの気温
   最低気温 18度  最高気温 30度
   5月下旬頃からスペインの気温の方が朝晩も日中も高くなる様だ。

○食べ物 
   タパス:1,2週間の旅なら、タパスとBARは最高の組み合わせで、朝っぱらから生ビールやワインを飲み、気に入ったタパスで立派な朝食になる。パンタパス専門店もあるBARの一種なのだが、食べる物は薄切りのフランスパン(油で揚げたのもある)に何か乗せたカナッペだけ。その種類はざっと数十種。コロッケ、肉、野菜パテの類、ソーセージ、チーズ、ピクルス、ハム、卵、魚類と考えられる物は何でもパンに乗せ、楊子1本で押さえてある。客はカウンターの上に積んである大きめの皿を取り、客側からも開く寿司屋の飯台の様なケースから勝手に好きな物を取りだしワインやビールを飲みながら食べる。支払いは皿の上に残った楊子の種類と本数、それと飲み物で払う。だから、食べ終わっても楊子は残しておかなければならない。歯の掃除をした後捨ててしまうなんてのは、ルール違反になる。時々、出来立ての熱々の具を乗せたパンタパスを皿に盛り、お客さんの間をウェートレスが歩き回る事もある。目の前に来てニコッとされると、もう手を出さざるを得ない状況に追い込まれるが。 
「赤ワインとタパス」
 ワインやビールを注文するとこの店ではタマネギのリング揚げがタダで出てきた。リングの数は10個くらい。左側の入れ物は「チョリソーの煮たのにポテトフライが乗せてある」。これは有料。
「オリーブの実売り」
 市場の近くや中でこういったオリーブの実の漬け物を売っている。種を抜いたの抜かないの、ニンニク等の野菜を一緒に漬け込んだの等実に色々な種類と味が有り、試食は自由。

○プラト・コンビナード:
直径30cm位の皿に数種類の料理を盛りつけた「一皿料理」。BAR、タベルナ、メソンやレストランで食べることが出来る。店の前に写真入りで一覧表示されていることが多い。店に入って「プラト・コンビナード」と言うと、それのメニューを持ってきてくれ、その中から選ぶ。一つの店で10〜15種類くらいの「プラト・コンビナード」を用意していて「ツナと野菜のサラダ」なんかは野菜好きの日本人に向いている。これは直径20cm位の深皿に山盛り入っているので、胃の小さな私などは、これだけで軽い食事にもなる。「ハンバーク」は日本の様に柔らかくなく、固いひき肉の塊だったのでお勧めできない。
○中華レストラン:
大概の町に一件くらいは有る感じだった。物価の安いスペインで、更に値段が安く、ボリュームも充分。ただ、スペイン人の嗜好からか、料理に砂糖をほとんど使わない様だ。だから甘酸っぱい酢豚は見当たらなかった。ラーメンの類は無いが焼きそばは有った。でもいくらこちらが「ビナグレ」と、酢を要求しても、持って来てはくれなかった。だから、日本から酢を持って行くと良い。  「注文はそれだけ?」と言われるが「焼きそば」と「ビール」だけの食事もOK。


○レストラン:
 コースで注文する必要は全くなく、好きな物を好きなだけ頼めば良い。数人で行って適当に料理を注文し、取り皿を貰って分け合って食べるっていう手も勿論OK。ただ味付けはしつこく強烈なことが多い様に思う。年輩の日本人には「マリスケリーア」(Marisqueria)というシーフードレストランがお勧め。ここで食べたい魚や貝やエビを選び、「鉄板焼き」や「蒸し」を注文する時に「塩無し」(Sin sal)と言えば良い。そう言わないと相当塩辛いのが出てくるのでご用心。これに自分で好みの量の塩を掛ければ間違いない。持参の醤油をかけるのも良いだろう。レモンは言えば出してくれる。
                                           「マリスコス売り」
 カディスの市場の隣のBARの店先に出ていた出店。並べてあるのはシャコ、海のカタツムリという巻き貝等。

スカンディナビア航空:
 私が今迄行ったヨーロッパはいつもこの航空会社を利用している。政治的に中立な北欧の国々がスポンサーだし、機内食はまずまずの味で、日系の飛行機の客室乗務員の様に不自然な作り笑いはしないし、使っているエアバスA-340−300の座席配列が2−4−2なのも気に入っている。リコンファーム不要なのも気楽で、今回の帰り路もちゃんと搭乗券がもらえた。万が一ダブルブッキングしていたら、タダでもう一日向こうに居られるんだからっていう思惑も有って、ちょっと期待してもいたんだが、これは当てが外れた。そして何より良いのは、SASがスターアライアンスのメンバーって事。この1年間にスペインに3回行って、フライトマイレージが軽く4万マイルをオーバー。お陰で6万円の利用券をゲットし、近々北海道に夫婦がタダで行けるというおまけ付き。有り難い! 有り難い!他の航空会社に比べてロストバッゲージ(荷物の紛失)が少ないと言われる。乗り換えのコペンハーゲン空港はバカでかくなく非常にわかりやすい。空港の建物の床が「板張り」というのも暖かみがあって落ち着く。もう一つ私にとって嬉しいのは、コペンハーゲン空港で売っている「パイプタバコ」の数々。紙巻きタバコの様に軽いのも有って、通過する度に何かしら買い込んで来て楽しんでいる。今回は5種類買い込んで来たので、色々な種類を当分楽しめそう。

○スペインでのスペイン語・英語
 英語で先制攻撃:
 バスの切符売り場やホテルでは、まず英語で「英語は話せますか?」と言うのが正解。先方が英語を話せれば英語が返って来るが、一瞬口ごもって「ウ−− A little」とか言っている時はチャンスだ。殆どの場合は「A little」(ちょっと)じゃなくて「Little」(ほとんど出来ない)なのだが、先方は立場上、そう答える。で、こっちが英語で用件を言うと通じない。困った顔をしている。「それじゃあ仕方ないから、スペイン語で言うか」とたどたどしくてもスペイン語で用件を言うと、「なんだ、出来るんじゃないですか!」と安堵が顔に出ている。そしてその後がうまく運ぶことになる。
 
向こうに負けずにデッカイ声で:
 スペイン人は声がデッカイ。バスの駅ではなく、道路ッパタからバスに乗る時には、切符は持っていないから運転手から買うのだが、近距離バスの運転手に「ア・ドンデ・バ」と大声で言われると、こっちは一瞬たじろいでしまいがちだ。しかし何食わぬ顔で、ゆっくりと地図でも広げ、「ここ」と地図を指さすか、地名を大きな声で言えば良い。ほとんどのバスの運転手は、お客一人にかかる時間なんか気にしてないし慌てたり急いだりすることはまずないから、ゆっくりと財布を取りだしてお金を出し、運転手に渡してもイライラしないでじっと待っていてくれる。切符を買いながら「昨日はあれから大変だったんだよ」なんて話しをするヤツもいる。道路がちょっと膨らんだバス停で10人位の客に5分もかけてのんびり切符を売っていても、待たされている後ろの車からは句は出ない。最後の客が時間が掛かりそうだと、バスは走り始めてしまい、運転しながらお金を貰い、お釣りを渡したりしている。
 
 英語もスペイン語も出てこない時は日本語で:
 スペインの人達は「何の言葉も発しない・反応しない人」が大の苦手らしい。私も弱いが。だから、英語も西語も出てこなかったら日本語で言うと良い。何もしゃべらずにニヤニヤしていたり、ニコリともしないで黙りこくっているいるのは最悪だ。オスタルのオヤジが冗談交じりにこちらをバカにしている様に何か言ったとき、「この野郎、言いたいことを言いやがって、ふざけんじゃねーや」と日本語で言ったら、語感で何となく通じたらしく、ニヤニヤしていた。笑顔を見せない人も苦手な様で「イギリス人はいつもしかめっ面をしているから嫌いだ」と言った人も居た。
 
○私と「チーナ」
 今回の旅で「チーナ」と言われたことは無かった。いや、町を歩いていて一度 ”La China”と私のことを言っている様に感じたことは有ったが、これは「中国人の女性」のことだから、聞き違いだったのかも知れない。殆どの場合「日本人ですか?」と聞かれた。「チーナ」と言う呼び方に悪意がある場合と無い場合があると聞いていたので、気にはしていたが私はどうやら「日本人」に見えるらしく、その点で不愉快なことはなかった。
 
○旅を終わって:
 私にとって今迄最長の1ヶ月間の旅をし終わって、何が変わったかと言うと、ご飯とみそ汁、焼き魚などの純日本食が今迄以上に好きになったことだ。「フキとアサリと生揚げの水晶煮」なんていうのを作っては目を細めて食べている。パンには目もくれなくなってしまった。スペイン語も今のところ見たくもない。次回までにはもう少しスペイン語を上達させなければならないと思うのだが、それはまだ先の話しである。

編集後記
スペイン通の川久保さんから沢山のスペイン情報がありましたが、、ホームページでは写真中心に紹介いたしました。会員の皆様には詳しい情報をロングステイクラブ会報に載せますのでお読みください。


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